監査について
ABOUT AUDIT
当事務所の提供する監査サービスについて説明しています。
目次
監査の目的
目的
公認会計士監査の目的は、監査を受ける法人を取り巻く多様なステークホルダーに対し、公認会計士が独立した第三者の立場から、当該監査を受ける法人の財務報告の信頼性を担保することにあります。
手段
多くは、一般に公正妥当と認められた企業会計基準に準拠し、重要な虚偽の表示がないことについて合理的な心証を監査人が得た場合に適正意見が付されます。
公認会計士監査とは
独占性・制度性
公認会計士監査は、一般に公正妥当と認められる監査の基準に基づき、一定の品質管理の下で公認会計士又は監査法人が精神的独立性を保持し実施するものであり、財務書類に対して社会的信頼性を付与(保証)します。
業務の流れ
予備調査⇒監査計画の立案⇒監査手続の開始⇒監査意見の形成⇒審査⇒「監査報告書」の提出
監査基準
公認会計士はすべからく求められる行動規範として監査基準によって立ち監査を行いますが、そこに職業的専門家としての知識の蓄積・職業的懐疑心の保持等の義務が謳われ、自己の意見を形成するに足る基礎を得るための、実在性や権利と義務の帰属といった財務諸表項目に関する適切な監査証拠に基づいて心証を得ることが求められています。
一般的に「監査」という用語は様々な局面で使用されますが、「公認会計士監査」は、それらとは異なり、監査及び会計の職業的専門家として、独立の立場から実施されるもので、「独立監査人の監査報告書」において、財務諸表に対する意見を表明(証明)することで責任を負うもので、公認会計士又は監査法人だけが提供できる業務です。
なお、監査基準は、金融庁長官の諮問に応じ、企業会計審議会が設定、審議しています。
[参考]金融庁HP「企業会計審議会」
会計報告の透明性確保ひいては資本市場の透明性に寄与し社会的なインフラとしての側面も有しています。
監査の機能
監査とりわけ制度監査におけるその機能については、以下の2つがあると言われています。
批判的機能
会社の経理または財務諸表の適否を公正妥当な会計基準に照らして批評し批判することを言います。
この機能は本源的な監査機能であり、指導的機能に比して重要度の高いものです。
具体的には、会社の会計組織をはじめ内部統制組織の整備・運用の状況を調査し,証憑・伝票・会計帳簿・各種計算表などの諸会計記録が作成されるプロセスを追求(業務の見える化)するとともに財務諸表を批判的に分析検討し,誤謬や不正があればこれを指摘し,結論として財務諸表がその会社の財政状態と経営成績を適正に表示しているか否かというその信頼性について意見を述べることです。
指導的機能
会計上の欠陥を補正し,また適正な財務諸表を作成できるように,会社に対して必要な助言・勧告を行い,またはコメントを発するなどの方法により,適当にこれを指導することをいいます。批判的機能に比し重要性は劣りますが、社会の要請やその意義から必要です。また、指導的機能は、発揮しすぎると自身が財務書類の調整をしたことと同義となるため、いきすぎないことも大切なことであると思われます。
監査の効果
1.公認会計士監査(会計監査人の監査)を受けることによる効果
財務情報の信頼性の向上、ガバナンスの強化、これによる法人の社会的信頼性の向上に寄与します。
外部からの監査を受けることで、財務情報の信頼性が向上し、法人の社会的な信頼性が高まります。
特に法定監査の場合、社会福祉法人や医療法人制度全体の社会的信頼性の向上に寄与します。
中長期には、適切な報酬や制度見直しに寄与するベースとなります。
2.適時、適切な経営判断に不可欠な信頼性の高い財務情報を適時に把握できる管理体制の整備・経営力強化に寄与します。
適切な計算書類が作成されるプロセスを整備することにより、経営判断(施設の新改築、職員の雇用、待遇改善等)に必要な法人の財政状態が信頼性をもって適時に把握できるようになり、適時適切な意思決定に寄与します。
3.職業的専門家との定期的なコミュニケーションにより経営課題を浮彫にし、課題解決に共に取り組みます。
監査への対応や会計監査人からのアドバイス等を通して、業務の効率化も期待できます。
4.不正の防止、発見効果が上がります。
不正発見は公認会計士監査の主目的ではありませんが、不正発見の早期化や、不正の抑制効果が期待できます。不正は一度発生すると、その後処理に相当のコストがかかりますが、このようなコストの回避につながります。
5.業務プロセスの見える化により、効率的な経営の実現に寄与します。
公認会計士監査の導入によって、理事会規程、監事規程、評議員会規程、IT情報処理規程等、規程・内規の整備及び定着が進むきっかけになります。経理業務の業務手順書・フローチャートなど、業務フローに関する文書の充実も期待できます。
これらの整備が進むことは、業務の透明性が向上するほか、法人の組織的な運営や、会計責任者・担当者の育成、円滑な引継ぎに役立ちます。
[参考]日本公認会計士協会HP:「公認会計士監査(会計監査人の監査)の概要【資料1】」
私見
監査については、種々の効果があり被監査会社の財務情報・内部統制など社会的な信頼性が付与されます。
しかしながら、その制度発端の歴史を見ても、被監査会社が自発的に自身の必要において受けるべきものであるところ、
法人自体に監査の効果・機能を有効に活用する姿勢がなければ本来の効果は発揮されません。
昨今の法定監査制度での不祥事などは、監査の根本的な限界を示すとともに、その目的・効果を見失ったことににより生じたものであると思われます。
このときこそ、改めて専門家である我々が真に監査の有用性・重要性について認識し、当事者として業務に当たるべきと考えます。
監査の種類
公認会計士監査
公認会計士監査は、法律によって実施が求められている法定監査と、法律に規定はない任意監査に分けられます。
法定監査
- 法定監査のうち主なものは、会社法に規定される会社法監査、金融商品取引法に規定される金融商品取引法監査です。また、その他の法令によって義務付けれれている法定監査も存在します(例えば、私立学校振興助成法による私立学校の監査など)。法定監査の目的は、各規程法律が趣旨とする利害関係者の利益保護にあり、公的組織の監査の場合は公益の保護にあります。その根拠法令によって、監査を行う上で拠って立つ会計基準についてもそれぞれ異なります。
- [参考]日本公認会計士協会「日本の監査制度」
任意監査
任意監査は、制度監査と異なり法令により義務付けられているものではなく、企業が任意に依頼するものです。そのニーズが生じるケースを多々ありますが以下のように
1.被監査会社が経理の適正化等の理由から監査を自発的に受ける場合
2.第三者が被監査会社の財務諸表や収支計算書の適性を評価するために監査を義務付ける場合
3.第三者が被監査会社への信用供与を行う際の条件として監査を義務付ける場合に大別できます。
1には被監査会社の経営者が財務諸表の社会的信頼性を獲得するために監査を依頼する場合や不正抑止を期待するケースなど
また、上場企業でなくても株主と経営者が他人であるような所有と経営が分離している場合に株主の立場から財務報告数値を調査するケース
2にはM&Aなどの際に買手会社が売手会社に対して行う買収監査(デューデリジェンス)場合で財務報告に粉飾がないか等を調査するケースなど
3には金融機関が有投資の条件として要求する監査で財産価値よりも将来価値を与信の担保とするケースなど
がそれぞれ該当します。
その他、会計監査の用語については、「会計監査用語解説集」日本公認会計士協会HPを参照ください。
監査役・会計参与監査
会社の機関のひとつ、監査役等によって行われる監査です。監査役等は、取締役や執行役の職務執行に不法な点がないかを監督、指導する立場が会社法に拠って定められています。目的は会社の出資者たる株主の保護にあり、近年は公認会計士などの専門家を外部監査役として起用するケースも増えてきています。これについては、日本公認会計士協会からの紹介制度なども存在します。また、公認内部監査人(CIAとは、Certified Internal Auditorの略称であり、内部監査に関する指導的な役割を担っているIIA(内部監査人協会)が認定する国際的な資格です。)などの資格も存在します。
なお、会計参与は会社法上の機関の一つであり、取締役や監査役と同様に株式会社の役員ですが、他の役員とは独立した立場を維持しつつ、取締役と共同して計算関係書類を作成するといったようなものです。監査役と違い、取締役の業務の適正性を監査する責任はなくあくまで財務報告に関する責任を負っている点が特徴として挙げられます。また、会社とは別にその計算関係書類を5年間備え置いて、会社の株主や債権者の請求に応じて、閲覧や謄本等の交付に対応することが義務づけられています。導入当初の趣旨は専門家を会社のために役立てるというもので、より具体的には会計・税務の専門的立場から会社の財務報告の信頼性を高めるというものだと思われます。会計参与になれるのは、会計専門家である税理士・公認会計士に限られており、その設置については任意に行う事ができます。
内部統制監査
内部統制監査とは、財務諸表に不正や誤謬が生じることを予防・発見する内部統制が適切に整備されているか、また、適切に運用されているかを監査することです。
狭義では、制度監査の実行において効率性を高めるために、企業の構築する内部統制に依拠して監査計画を策定するため、内部統制の機能面から信頼性を図る目的で行われます。
広義的な意味合いとしては、会計監査目的にかかわらず、内部統制が有効に機能しているか等を独立の第三者からチェックする行為を指すものと思われます。
例えば社内の業務フローにおいて、不正が起こりうる箇所などを把握したいという企業のニーズに応じて、取引の承認権限系統の把握を分析したり
実際に取引のウォークスルーを行い取引フローの理解・整理の検証や職務分掌の状況の検証およびコントロールの整備状況の評価などを行うものです。
制度としては、ディスクロージャーの信頼性を確保するための企業における内部統制が有効に機能していることを経営者自らが評価し、「内部統制報告書」を金融商品取引法に基づき作成することを義務づけた制度が存在します。この制度は、通称J-SOXと呼ばれています。
開示企業における内部統制の充実は、個々の開示企業に業務の適正化・効率化等を通じた様々な利益をもたらすと同時に、ディスクロージャーの全体の信頼性、ひいては証券市場に対する内外の信認を高めるものであり、開示企業を含めたすべての市場参加者に多大な利益をもたらすものであると考えられており、「内部統制報告書」は公認会計士等による監査を受けることとされています。