相続・贈与時の借地権等の分類×図解まとめ一理解・整理するためのノートとして

目次

注)本記事の内容は、記事掲載日時点の情報に基づき判断しておりますが、一若輩者の執筆であることから個別の案件での具体的な処理については責任を負いかねます旨ご理解いただきたく存じます。制度上の取扱いに言及しておりますが、個人的な見解であり、より制度深化に資すればと考えてのものです。

Ⅰ.はじめに

本稿は、相続実務で頻出する「借地権等が設定されている宅地(貸宅地)等の評価する」という場面について、一般的な考え方を、財産評価基本通達に基づき整理したものです。

個別事案の結論は事実関係により異なるため、最終判断は必ず個別相談でご確認ください。

Ⅱ.結論まとめ 借地権等が設定されている土地の分類

例)自用地価額100   借地権割合40% 借家権割合30% 賃貸割合90%の場合

番号分類土地所有建物所有建物利用算式評価額集計特記評価基本通達
貸宅地自分第三者A第三者A自用地*(1-借地権割合)60100合計が自用地価額25(1)
借地権第三者A自分自分自用地*借地権割合=借地権4027
貸家建付地自分自分第三者A自用地*(1-借地権割合*借家権割合*賃貸割合)89.20100合計が自用地価額26
同上借家人の有する権利第三者第三者自分借地権価額*借家権割合*賃借割合10.8031(1)
貸家建付借地権等第三者A自分第三者B借地権-(借地権*借家権割合*賃貸割合)29.20  28
自用地*(借地権割合-借地権割合*借家権割合*賃貸割合)29.20  28
転貸借地権第三者A第三者B第三者B借地権-転借権2440合計が借地権価額29
転借権借地の借地自分自分借地権*借地権割合1630
貸家建付転借権借地の借地第三者C第三者D転借権-(転借権*借家権割合*賃貸割合)11.6816合計が転借権価額30
借家人の有する権利第三者第三者自分転借権価額*借家権割合*賃貸割合4.3231(2)

理解する過程において、重要なのは底地と利用する権利を合わせた場合におよそ自用地価額となるという認識だと感じました。

Ⅲ. 個別ケースの図解

1⃣ 貸宅地と借地権

 貸宅地とは、土地所有者が宅地を借地権者等に賃貸して宅地を直接使用収益させている場合の宅地のことをいい、正確には「宅地の上に存する権利の目的となっている宅地」といいます。
 貸宅地は、路線価方式又は倍率方式で計算した宅地の自用地価額(更地価額)から、借地権等の価額を控除して評価します。

2⃣ 貸家建付地

貸家建付地とは、土地所有者が建物を建築して賃貸し、その建物の敷地となっている宅地を借家人に間接的に使用収益させている場合の宅地のことをいいます。
 貸家建付地は、次の算式で計算して評価します。

 自用地価額-自用地価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合

3⃣ 貸家建付借地権等

 貸家建付借地権とは、土地所有者から宅地を借り受けて家屋を建築し、この家屋を賃貸している場合の借地権のことをいいます。土地所有者にとってみれば、貸宅地です。
 貸家建付借地権等は、宅地の使用収益権の一部を借家人が借家とともに利用していることから、それだけ借地権等の価値が減少していると考えられることから、次の算式で計算して評価します。

 借地権等の価額-借地権等の価額×借家権割合×賃貸割合

4⃣ 転貸借地権

転貸借地権とは、土地所有者から宅地を借り受け、それを自己の用に供することなく、他人に転貸している場合の借地権のことをいいます。
 このような借地権は、借地権の上に更に借地権が設定されたことにより、借地権の一部が転借人に移転し、その第一次借地権が減価したものとみて、次の算式で計算して評価します。

 借地権価額-転借権の価額(=借地権価額×借地権割合)

5⃣ 転借権

転借権とは、他の借地権者から宅地を又借りしている場合の借地権のことをいい、本来の借地権の上に設定された第二次借地権というべきもので、次の算式で計算して評価します。

 借地権価額×借地権割合

6⃣ 貸家の敷地の用に供されている転借権(貸家建付転借権)

貸家の敷地の用に供されている転借権(貸家建付転借権)は、次の算式で計算して評価します。

 転借権価額-転借権価額×借家権割合×賃貸割合

7⃣ 借家人の有する宅地等に対する権利の評価

借家人がその借家の敷地である宅地等に対して有する権利の価額は、原則として、次の算式で計算して評価しますが、その借家権が権利金等の名称をもって取引される慣行のない地域にある場合は評価しません(ゼロ評価とする)。

 借地権価額又は転借権価額×借家権割合×賃借割合

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