目次
注)本記事の内容は、記事掲載日時点の情報に基づき判断しておりますが、一若輩者の執筆であることから個別の案件での具体的な処理については責任を負いかねます旨ご理解いただきたく存じます。制度上の取扱いに言及しておりますが、個人的な見解であり、より制度深化に資すればと考えてのものです。
Ⅰ.はじめに
本稿は、実務において迷いが生じる機械装置に係る耐用年数の判断について、耐用年数通達の内容をまとめ、俯瞰して眺めることで体系的な整理と隣接業種の区分の理解に資するよう記載するものです。
個別事案の結論は事実関係により異なるため、最終判断は必ず個別相談でご確認ください。
Ⅱ.結論まとめ
設備別 耐用年数の分類概括表
Ⅲ. 個別ケースの考え方及び判断困難性の問題提起
1⃣ 原則
機械装置の耐用年数については、当該設備によつて最終的に生産される製品(最終製品)に基づき、かつ、その最終製品に係る業種については日本標準産業分類において分類されている業種に基づいて判定することのが原則とされています。
平成20年度の税制改正によって、耐令別表第二の「機械及び装置」の耐用年数は、従来の400種程度の区分から55種類の区分に大括り化されました。そして、従来は主に「○○製品製造設備」として製品単位で耐用年数が定められていましたが、改正後はすべて「○○業用設備」として業用単位で法定されています。
なお、耐用年数省令別表第二の機械装置は,製品の生産に係るものだけではなく、旅客運送等の役務の提供に係るものを含んでいるため、役務の提供の場合の「最終製品に基づく判定」は,最終的な役務の提供がどのようなものであるかによつて判定することになります。
また、その設備を使用する法人の営む業種によって判定するものではないと言われています。この取り扱いが実務上、大変悩ましいところかと思います。
つまり、法人の営む業種でなく、その設備によって生み出させる製品・サービスに係る業種で判断するということだと思われます。
2⃣ 厨房設備
たとえば、自動車部品製造業者が工場の社員食堂に設置した厨房設備は、その構成や使用状況が通常の飲食店業用の設備と同様のものという前提では、別表第二「48飲食店業用設備」の耐用年数8年を適用することになります。
その理由は、厨房設備は業務用として通常は飲食店が使用するものであるからとされています。
その法人が自動車部品製造業であるからといえど同「23輸送用機械器具製造業用設備」の耐用年数9年を適用するのではないことに留意が必要です。(国税庁・平成20.7「耐用年数等の見直し(平成20年度税制改正)に関するQ&A」Q5,Q6参照)
3⃣ 自家用設備
例えば、工場構内にある倉庫のように、通常、工場に設置されており、原材料の供給や製品の一時的保管の用に供されており、製造設備にとって必要な付属的設備あるいは本来の業務を補助するための付帯的な設備については本来の業用設備の耐用年数を適用することとされています。
この工場内倉庫は、さきほどの述べた工場内食堂と考え方を異にしています。
工場内倉庫を本来の業用設備の耐用年数とする理由は、倉庫用設備が倉庫業としての使用状況が同じであるとしてその工場の最終製品に係る設備と分離して倉庫業用設備としての耐用年数を適用することは、原価計算上も経理処理上も実情に即さないと考えられるためと説明されています。
4⃣ 工場内倉庫と工場内食堂の考え方の相違
上述のように、工場内倉庫が本来の業用設備の付随と考える一方で、工場内食堂は飲食サービスを生み出すために、飲食業用設備とされています。
この区分の輪郭を明確に判別することが実務上難しいと思われます。
5⃣ 宿泊客用のクリーニング設備と浴場設備
例えば、ホテル業においては、宿泊場所の提供のほかに宿泊者のワイシャツ等のクリーニングやサウナ風呂入浴設備を利用させる等のサービスが行われます。
このような複合的なサービスの提供の用に供される設備は、その設備の全部が一体として宿泊客に対するサービスの用に供されます。
そのため、このような本来の宿泊業におけるサービスを構成する設備については、当該複数の役務の提供に係る業用設備として個別に耐用年数を適用するのではなく、これらを総括して当該一の役務の提供に係る業用設備、すなわち、宿泊業用設備としての耐用年数を適用することになるといわれています。
その一方で、宿泊業の業種用の設備には通常当たらないような、ホテルのプール・スケート場・プラネタリウムなどの関連設備は、別途の業用設備として、一般的には別表第二の「51娯楽業用設備」に該当することになるとされています。
この線引きも実務上は大変判断に迷うと思います。
ホテルが「通常提供するサービスか否か」の判断において、宿泊業用設備か娯楽業用設備かが決定されます。
風呂は、宿泊業用で、プールが娯楽業用となれば温水プールはどうなるのでしょうか。
岩盤浴は?
その線引きが難しいところです。
6⃣ ホテル内レストランの厨房設備
さらに、ホテル内にあるレストランについては『税務通信3497号』2018年03月05日で、以下の様に言及されいます。
宿泊客以外も利用可能なレストランは,宿泊サービスとは独立した通常の飲食店と同様であり,その厨房設備は飲食店業用設備とみられます。また,社員食堂の厨房設備は,上記従業員用の浴場設備と同様の実態にあるといえ,上記「2」の自動車部品製造業者が社員食堂に設置した厨房設備と同様の位置づけにある,と考えられるからです。
これに対し,宿泊客用の食堂の厨房設備については,耐令別表第二「47 宿泊業用設備」の10年を適用すべきものと考えます。その厨房設備は,宿泊客用のクリーニング設備や浴場設備と同じように,宿泊サービスの一環のための設備とみられるからです。
一環としてのサービスか、それとも独立したサービスかについて実態に沿って判断する必要があるように思います。また、誰が利用されることを想定しているかも判断の基礎になります。
7⃣ まとめ
以上のように、耐用年数の適用に当たっては、その設備の主副・利用形態・想定利用者などを総合的に勘案する必要があると思います。