消費税税法

サービス付き高齢者向け住宅における食事代・軽減税率について

目次

1 概要:介護サービスにおける消費税の課非について

①前置き

 まず、最初におことわりさせていただきたい点は、当該論点につき、実務に照らした場合によくわからない箇所が多いというのが正直なところです。通常、自らの業務において処理を決定する際には、その根拠を調べた上で間違いの無いようにするというのが基本的なスタンスです。 

 しかしながら、介護サービスにおける処理については、その根拠を探ることに大変に手こずっています。 そのため、本稿は若輩である一会計・税務の専門家が日々の悩みを書き綴るエッセイとして利用されるのが筆者の目的に沿うところです。
 さて、介護保険事業を行うにあたって消費税の課税・非課税の判定は頭を悩ます問題であり、 介護保険の消費税課税・非課税の判定は会計事務所でも場合によっては税務署も規定を知らない場合があり、それは、介護保険の消費税に関する通達が厚生労働省から出ている場合もあるためであると言われています。 
 以下に記載する本稿の内容につき、正確性に疑念があるため、公開すべき情報かどうか悩みましたが、同じような論点に悩まれている実務家もいらっしゃるだろうと思い、 とりわけ「サービス付き高齢者向け住宅での食事代の支給」にフォーカスして、自分なりに調べた結果をまとめたいと考えています。併せて、本稿の取り扱いには十分な注意を払われることを特記しておきたいです

2 介護サービスにおける食事費の取扱い

 食事費の取扱いの基本として、自己の選定による特別な食事の提供は、どの施設でも課税となります。
それ以外の通常の食事は、介護サービスの種類によって、非課税となる範囲が異なるものの、ほとんどの介護施設・介護サービスでは非課税です。
しかしながら、有料老人ホームとサ高住の食事だけは課税(注1)となっています。

  以下、その具体的な規定ぶりについて考察しています。なお、軽減税率の対象となる食事代については「施設の設置者等が同一の日に同一の者に対して行う飲食料品の提供の対価の額(税抜)が一食につき640円以下であるもののうち,その累計額が1,920円に達するまで」(28年改正消令附則3②,28年財務省告示第100号)という金額の基準がありますが、ここでの詳細な言及は割愛致します。

3 有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の食事は課税

 ①サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の食事は課税取引である端的な根拠

 令和1年5月27日現在、有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の食事は課税である旨を端的に示す根拠は、 軽減税率に関する規定において、「有料老人ホーム」と「サ高住」の食事のみが軽減税率の対象とされている点です。

 軽減税率の適用対象となる有料老人ホームにおいて行う飲食料品の提供とは、老人福祉法第29 条第1 項の規定による届出が行われている有料老人ホームにおいて、当該有料老人ホームの設置者又は運営者が、当該有料老人ホームの一定の入居者に対して行う飲食料品の提供をいいます(改正法附則34①一ロ、改正令附則3②一)。

 また、軽減税率の適用対象となるサービス付き高齢者向け住宅において行う飲食料品の提供とは、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」第6 条第1 項に規定する登録を受けたサービス付き高齢者向け住宅において、当該サービス付き高齢者向け住宅の設置者又は運営者が、当該サービス付き高齢者向け住宅の入居者に対して行う飲食料品の提供をいいます(改正令附則3②二)。

このことは、逆に言うと「有料老人ホーム」と「サ高住」の食事が「課税」であるからこそ「軽減税率」の対象となっているということです。
財務省が発行する軽減税率のパンフレット(注2)では、 有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、幼稚園、小学校、中学校等で提供される一定の飲食料品・給食等が軽減税率の対象となる旨の 記載があります。ここにいうサービス付き高齢者向け住宅が全てのサービス付き高齢者向け住宅を包含する概念であるのか多少の疑念を持っています。また、通所介護事業などのいわゆる居宅サービスを併設している場合には別の観点からの検討が必要な気がいたします。

②サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の食事は課税取引である具体的根拠

 サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の食事は課税取引である具体的根拠は、まず消費税法2条にあります。
消費税法2条では、軽減税率に関する定義がなされ、飲食料品の譲渡に別表第一(第2条関係)一ロに規定する飲食料品の提供は除くとされています。
ここにいう、別表第一(第2条関係)一ロに規定する飲食料品の提供の内容は、割愛しますがそこに、括弧書きにおいて、政令の定めにより除かれている飲食料品の提供があります。
当該政令の定めが、施行令の第2条の4②一~七に規定されていますが、そこに「有料老人ホームとサ高住の食事」が規定されています。

 

関係法令
○消費税法(昭和63 年法律第108 号)(抄)
(定義)
第2 条

この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 九の二軽減対象課税資産の譲渡等課税資産の譲渡等のうち、別表第一に掲げるものをいう。
別表第一(第2 条関係)
一飲食料品(食品表示法(平成25 年法律第70 号)第2 条第1 項(定義)に規定する食品(酒税法 (昭和28 年法律第6 号)第2 条第1 項(酒類の定義及び種類)に規定する酒類を除く。以下この号 において単に「食品」という。)をいい、食品と食品以外の資産が一の資産を形成し、又は構成してい るもののうち政令で定める資産を含む。以下この号及び別表第一の二において同じ。)の譲渡(次に掲げる課税資産の譲渡等は、含まないものとする。)
イ(略)
課税資産の譲渡等の相手方が指定した場所において行う加熱、調理又は給仕等の役務を伴う 飲食料品の提供(老人福祉法(昭和38 年法律第133 号)第29 条第1 項(届出等)に規定する 有料老人ホームその他の人が生活を営む場所として政令で定める施設において行う政令で定める飲食料品の提供を除く。)
二(略)
○消費税法施行令(昭和63 年政令第360 号)(抄)
(飲食料品の譲渡に含まれない食事の提供を行う事業の範囲等)
第2 条の4 (略)
2 法別表第一第一号ロに規定する政令で定める施設は、次の各号に掲げる施設とし、同表第一号ロに 規定する政令で定める飲食料品の提供は、次の各号に掲げる施設の区分に応じ当該各号に定める飲 食料品の提供(財務大臣の定める基準に該当する飲食料品の提供に限り、第14 条の2 第1 項から 第3 項までの規定により財務大臣が指定する資産の譲渡等を除く。)とする。
一老人福祉法(昭和38 年法律第133 号)第29 条第1 項(届出等)の規定による届出が行われている同項に規定する有料老人ホーム(次号に掲げる施設に該当するものを除く。) 当該有料老人ホームを設置し、又は運営する者が、当該有料老人ホームの入居者(財務省令で定める年齢その他の要件に該当する者に限る。)に対して行う飲食料品の提供
二高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成13 年法律第26 号)第6 条第1 項(登録の申請)
に規定する登録を受けた同法第5 条第1 項(サービス付き高齢者向け住宅事業の登録)に規定するサービス付き高齢者向け住宅当該サービス付き高齢者向け住宅を設置し、又は運営する者が、当該サービス付き高齢者向け住宅の入居者に対して行う飲食料品の提供
三~七(略)

4 介護サービスにおける消費税の課非を判断するのが困難な理由

 有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の食事は課税であるという結論は上記によって得ることができました。
上記は、有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の食事は課税であるという根拠を現在すでに公表されている軽減税率の制度の規定ぶりに求めましたが、それでは消費増税前はどのようにその根拠が規定されていたのかという疑問が生じます。
 この疑問について、現在解決しようと取り組んでいますが、中々に制度が入り組んでいて、一筋縄ではいきません。 

あくまで私見ですが、当該論点に係る周辺領域は、あえて複雑に規定されている感さえ覚えます。
参考文献にあげた「介護サービスでの食事提供における消費税の課否を再確認 」『税務通信』3495号,税務研究会,2018年02月19日。という記事が 解決の糸口だと思いますが、当該分析は後日に回したいと思います。
また、「特定施設」や「併設事業所」というキーワードが重要であろうと思います。

5 参考情報

(注1)   「有料老人ホームの食事と給食」芹澤光春『税理』第62巻第4号
(注2)   財務省HP:「軽減税率制度の概要」
参考文献: 「介護サービスでの食事提供における消費税の課否を再確認 」『税務通信』3495号,税務研究会,2018年02月19日。
参考サイト:公益社団法人全国有料老人ホームHP
      福岡市HP 

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