【法人の納税手続まとめ】納付書事前送付とりやめに対応するキャッシュレス納付を中心として

目次

注)本記事の内容は、記事掲載日時点の情報に基づき判断しておりますが、一若輩者の執筆であることから個別の案件での具体的な処理については責任を負いかねます旨ご理解いただきたく存じます。制度上の取扱いに言及しておりますが、個人的な見解であり、より制度深化に資すればと考えてのものです。

1.納付書事前送付の現状

(1)国税関連の納税手続

キャッシュレス化・ペーパーレス化の時代の波が税務手続きにも押し寄せてきています。

そのあらわれとして、2024年5月30日に行政機関や、関係民間団体、当協会を含む金融機関業界団体等、キャッシュレス納付の推進活動に取り組む23団体がキャッシュレス納付の全国的な普及と利用促進を、共同して推進していくことを宣言したようです。

【参考】国税庁HP「国税・地方税キャッシュレス納付推進全国宣言式」について

この団体においては今後もキャッシュレス納付についての協議や見直しが行われていく見込みの様です。 

共同宣言者によるレポートによれば、我が街福岡は、令和4年度のキャッシュレス納付の利用割合は、全都道府県中、40位で25.3%となっており、比較的に進んでいない状況です。(国税・地方税のキャッシュレス納付共同レポート,令和6年5月30日,国税庁・総務省・地方税共同機構・金融庁・日本銀行・全国銀行協会・全国地方銀行協会)

キャッシュレス納付への移行は、その際の事務コストや責任者の世代によっては難しい側面もありますが、進めていかなければならない課題であるとも思われます。

今回は、特に法人に関連する税目を中心に、納税手続きの方法をまとめてみました。

さて、国税に関連する納付書については、令和6年5月以降に送付する分から、納付書の事前の送付を取りやめることとしているようです。

国税庁では、「あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会」の実現に向けて、キャッシュレス納付の利用拡大に取り組んでいるところ、社会全体の効率化と行政コスト抑制の観点を踏まえ、e-Taxにより申告書を提出している法人の方などについて、事前送付を省略することがその趣旨の様です。

【参考】納付書の事前送付に関するお知らせ(R6.5.10訪問)🔗

(2)地方税関連の納税手続

地方税については、自治体によって対応が分かれていると思われますが、令和2年4月1日より大法人の電子申告が義務化されたことに伴い、地方税共通納税システムによる電子申告の利用率向上、また環境負荷の軽減および経費削減を進める観点により、令和5年7月1日以後に申告期限を迎えるすべての法人について申告書・納付書の事前送付を取りやめる自治体もあるようです。

【参考】上尾市HP「【重要なお知らせ】法人市民税の申告書・納付書の事前送付を取りやめます」(R6.5.13訪問)。

(3)状況まとめ

前提に種々条件ありますが、一般的な状況をまとめると下記のようになります。

国税源泉所得税の徴収高計算書 消費税の中間申告書兼納付書 従前どおり 
上記以外送って来ない所定納付書の利用について注意書きあり※R6.5~
地方税 送って来ないダウンロード印刷可能R6.7~

※国税庁からのお知らせには以下の様な依頼が記載されています。

納付書で納付する場合には、必ず税務署で用意した所定の納付書をご使用いただきますようお願いいたします。

既存の納付書をコピーしたものや、会計ソフトで作成し市販の用紙で印刷したものなどは、機械処理による情報の読み取りが正しく行えず、納付事実の確認に時間を要するなど、ご不便をお掛けする可能性があります。

※ 納付書をご希望の方は、最寄りの税務署にお問い合わせください。

2.今後の対応について

今後の対応については様々なパターンが想定されると思われますが、代表的な対応としては以下の様になると思われます。

 国税地方税
1ダウンロード印刷→望ましくなさそうタウンロード印刷
2納付書を税務署に電話依頼タウンロード印刷
3納付書を税務署窓口へ取りに行くタウンロード印刷
4キャッシュレス決済キャッシュレス決済

国税と地方税については、それぞれの手続き方法を自由に組み合わせて利用できると思われますが、キャッシュレスの場合は統一していた方が自然な感じがします。

国税庁では、令和7(2025)年度までにキャッシュレス納付割合を40%にすることを目標としています。その目標を達成するために対象者を更に広げる可能性や利用の利便性を広げる可能性もあります。

この機会にキャッシュレス納付の検討することは時代の流れに沿うと思われます。

3.キャッシュレス決済・キャッシュレス納付について

(1)キャッシュレス納付の種類

キャッシュレス納付の手段は複数あり、以下の様に簡単にまとめてみました。ポイントは、国税と地方税を分けて理解する点ですが、以下の納付の種類は基本的に国税・地方税に用意されています。

種類特記
1. 【キャッシュレス納付】振替納税法人税利用不可
2. 【キャッシュレス納付】ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)別途下記で説明(3(2))
3.【キャッシュレス納付】インターネットバンキングやATMで納付別途下記で説明(3(3))
4.【キャッシュレス納付】クレジットカード納付カード利用範囲内
5.【キャッシュレス納付】スマートフォンアプリ納付30万まで
6. QRコードを利⽤したコンビニ納付30万まで
7. 窓口納付 
国税庁キャッシュレス納付のご案内より一部抜粋

(2)ダイレクト納付の利用手続

上記納付手続きの種類の中で、種々の制約が一番ないのがダイレクト納付と思われます。

アプリ納付やコンビニ納付に関しては納税可能額に上限があり、振替納税は法人税では利用できません。クレジットカード納付は、自分自身が所得税の納税に利用したことがありますが、簡単である一方で、上限額があります。ダイレクト納付及びインターネットバンキングによる納付の場合にも上限額がありますが、一般的に他の納付方法よりも上限額が高く設定されそうです。

各種納付手段を俯瞰してみるに、一定規模の法人を想定した場合の利用を前提にすると、ダイレクト納付かインターネットバンキングが融通が利きそうな気が致します。

ただし、ダイレクト納付は国税・地方税ともに事前に届け出る必要があります。

インターネットバンキングは、事前に金融機関との利用契約が必要です。

①国税のダイレクト納付の利用手順

ダイレクト納付については、下記サイトが一番分かりやすいと思います。

なお、ダイレクト納付は金融機関により上限があります【参考】国税庁HP:利用可能金融機関一覧(R6.5.13訪問)

ア、事前事前準備については、下記の案内が参考になります。

国税庁HP:ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)の手続

具体的には以下の様な書類を書面ORオンラインで税務署へ提出します。

イ、実際の納付手続きについては下記のサイトが参考になります。

E-TAX HP「ダイレクト納付(e-Taxによる口座振替)による納税手続」(R6.5.13訪問)🔗

ダイレクト納付する場合の具体的な流れは以下のとおりです。

特にe-TAXのサイトを利用します。


➀申告等データの作成送信、処分通知書等の受信


「申告等データ」、「納付情報データ」を作成して送信する又は処分通知書等を受信します。

➁ダイレクト納付の利用

申告等データを送信した場合
申告等データを送信した即時通知の画面に設けられているリンクから受信通知を参照し、当該画面から納付区分番号通知の画面へ遷移する。あるいは、メッセージボックスに格納されている納付区分番号通知を参照する。この場合、電子証明書による認証は必要ありません。
平成31年1月以降、納税額が発生する申告等データを送信した場合、受信通知とは別に納付区分番号通知がメッセージボックスに格納されます。

納付情報データを送信した場合
受信通知とは別に格納される、納付区分番号通知を参照する。この場合、電子証明書による認証は必要ありません。
処分通知書等を受信した場合
処分通知書等が通知書一覧に格納された場合、当該通知書とは別に納税者のメッセージボックスに納付区分番号通知が格納されるため、それを参照する。この場合、電子証明書による認証は必要ありません。
 その後「今すぐに納付される方」または「納付日を指定される方」のいずれかを選択します。
②(3)については、納税者本人にのみ通知されるものであり、税理士には通知されません。


➂預貯金口座からの振替

 「今すぐに納付される方」を選択した場合、ダイレクト納付内容確認画面で、納付内容を確認し、引落し口座を選択した上で「はい」をクリックすることで、届出をした預貯金口座から振替が行われ、即時に納付が完了します。
「納付日を指定される方」を選択した場合、ダイレクト納付内容確認画面で、納付内容を確認し、引落し口座を選択した上で「納付日」に引落し日を入力し、「はい」をクリックすることで、届出をした預貯金口座から、指定した期日に振替が行われ、納付が完了します。指定できる納付日は、原則として法定納期限までの日付になります(土、日、祝日等を除く。)。


➃納付状況の確認

 納付手続完了後、「ダイレクト納付完了通知」がメッセージボックスに格納されます。納付できなかった場合、残高不足等の「ダイレクト納付エラー通知」が格納されますので、必ず納付状況(エラー情報)を確認してください。
なお、納付日を指定して納付された方は、指定した期日の午前中にメッセージボックスの内容をご確認ください。
また、メールアドレスを登録するとメッセージボックスに新たなメッセージが格納された場合、メールでもお知らせが届きます。


〇参考:ダイレクト納付の画面
(e-Taxを利用して法人税確定申告を送信した際のイメージ)

②地方税のダイレクト納付の利用手順

地方税についてのダイレクト納付は、下記のサイトが分かりやすいと思います。

事前準備と、実際の納付手続きが網羅されています。

【参考】ELTAXHP「共通納税納付の手順」

ダイレクト方式での納付が可能になるのは、PCdesk(DL 版)で口座情報の登録の操作を行った上で、PCdesk(DL 版)から印刷した書類に押印(金融機関届出印)して金融機関に郵送し、金融機関の審査が完了した後です。
金融機関の審査には一定の期間が必要となります。

 

 

納税を行うためには、対象の地方公共団体全てに提出先の登録手続きが必要です。具体的には、PCdesk(ダウンロード版)の利用者情報メニューの「提出先・手続き変更」より、提出先及び税目等手続きの追加をします。

 PCdeskを利用した電子納税

電子申告連動による納税
 電子申告を行った申告データの納付情報の発行を依頼します。

→納税メニューを開く。

納付方法を選択します。
 「ダイレクト方式」の納付方法を選択して納付します。

(3)インターネットバンキング等からの納付

①国税のインターネットバンキング納付の利用手順

1 インターネットバンキング等の口座開設
あらかじめ利用可能な金融機関をご確認の上、インターネットバンキング口座又はモバイルバンキング口座を開設してください。
2 e-Taxの利用開始手続

3 E-TAXでのインターネットバンキング等での納付手続

ア,納付区分番号通知の画面で インターネットバンキング をクリックします。

イ,サイト外リンク接続に係るお知らせが表示されます。

ウ,メッセージを確認し OK をクリックします。

エ,金融機関を選択する画面が表示されるので、該当の金融機関を選択します。

オ,金融機関のホームページ内の指示にしたがって、納付の手続を行います。

②地方税のインターネットバンキング納付の利用手順

1 インターネットバンキング等の口座開設
あらかじめ利用可能な金融機関をご確認の上、インターネットバンキング口座又はモバイルバンキング口座を開設してください。
2 eL-Taxの利用開始手続

3 EL-TAXでのインターネットバンキング等での納付手続

「インターネットバンキング」の納付方法を選択して納付します。

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