資産の損害に基因して支払を受ける損害保険金(個人所得税関連)

目次

H31.2月時点

1.概要

個人が不動産賃貸業などを営む上で、事業用資産が被災し、保険金が支払われる場合があります。

この場合の課税上の取扱につき思う所があったので、かいつまんでみたいと思います。

2.規定の内容

原則

資産の損害に基因して支払を受ける損害保険金
資産の損害に基因して支払を受ける損害保険金は、原則として非課税とされています(所9①16、所令30)。
ただし、以下のような例外があります。

例外

 
損害保険金のうち各種所得の計算上必要経費に算入される金額を補填するための金額 


 損害保険金や損害賠償金などのうち、損害を受けた者の各種所得の金額の計算上 
必要経費に算入される金額を補填するための金額は、所得税の非課税の対象とはされず(所令30本文括弧書き)、
その金額が損害額を超えるか否かにかかわらず、その全額を総収入金額に算入することとされています。

 この場合の「必要経費に算入される金額を補填するための金額」とは、
例えば、心身又は資産の損害に基因して休業する場合にその休業期間中における使用人の給料、
店舗の賃借料その他通常の維持管理に要する費用をほてんするものとして計算された金額のようなものをいい、
保険金等によって補填されるか否かに関係なく必要経費は必要経費として別建てで計算されるものを補填するための金額をいいます(所基通9-19)。

したがって、結局保険金等の収入金額とそれによって補填される必要経費とが両建て経理されることになります。

 一方、「事業用固定資産の損失を補填する為に支払いを受ける保険金」がある場合には、その損失の金額から
保険金等により補填される部分の金額を除くこととされています(所法51①)。
すなわち、「事業用固定資産の損失を補填する為に支払いを受ける保険金」がある場合には、
その損失の金額のうち保険金等により補填される部分の金額は、そもそも必要経費に算入されないこととされています。
換言すれば、事業用固定資産の損失の金額(必要経費の金額)自体をその補填される部分に相当する金額だけ減額するとされています。
そのため、事業用固定資産の損失を補填する為に支払いを受ける保険金額は、

「必要経費に算入される金額を補填するための金額」に含まれないことになり、
所得税は非課税となります(所基通9-19)。
なお、事業用固定資産の損失の金額を超える金額の保険金等の支払を受けた場合であっても
その保険金の金額が非課税となります(実質的に非課税となるのは、その超える部分の金額です)。

3.私見

読解のポイントは、保険の概念上の区分と「補填」という文言にあると思います。

4.関連条文

(原状回復のための費用)
所基通51-3 法第51条第1項又は第4項に規定する資産が損壊した場合において、
当該資産の修繕その他の原状回復のために支出した費用の額があるときは、
その費用の額のうち、当該資産について令第142条又は第143条の規定を適用して計算した金額から
当該損壊直後における当該資産の価額を控除した残額に相当する金額までの金額は資本的支出とし、
残余の金額を当該支出をした日の属する年分の必要経費に算入するものとする。

(災害の場合の原状回復のための費用の特例)
所基通37-14の2 災害により損壊した業務の用に供されている固定資産について支出した費用で、
その費用の額を修繕その他の原状回復のために支出した部分の額とその他の部分の額とに区分することが
困難なものについては、当該損壊により生じた損失につき法第72条の規定の適用を受ける場合を除き、
その費用の額の30%相当額を原状回復のために支出した部分の額とし、
残余の額を資本的支出の部分の額とすることができる。
(昭55直所3-19、直法6-8、昭57直所3-1、平7課所4-16改正)
(注) 当該損壊により生じた損失につき法第51条第1項又は第4項の規定の適用がある場合には、
上記により計算された原状回復のために支出した費用の額であっても、
51-3により必要経費に算入されないものがあることに留意する。

所令30
第30条  非課税とされる保険金、損害賠償金等
法第9条第1項第17号(非課税所得)に規定する政令で定める保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含む。)は、
次に掲げるものその他これらに類するもの(これらのものの額のうちに同号の損害を受けた者の各種所得の金額の計算上
必要経費に算入される金額を補てんするための金額が含まれている場合には、
当該金額を控除した金額に相当する部分)とする。
一 損害保険契約(保険業法(平成7年法律第105号)第2条第4項(定義)に規定する損害保険会社若しくは同条第9項に規定する外国損害保険会社等の締結した保険契約又は同条第18項に規定する少額短期保険業者(以下この号において「少額短期保険業者」という。)の締結したこれに類する保険契約をいう。以下この条において同じ。)に基づく保険金、生命保険契約(同法第2条第3項に規定する生命保険会社若しくは同条第8項に規定する外国生命保険会社等の締結した保険契約又は少額短期保険業者の締結したこれに類する保険契約をいう。以下この号において同じ。)又は旧簡易生命保険契約(郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成17年法律第102号)第2条(法律の廃止)の規定による廃止前の簡易生命保険法(昭和24年法律第68号)第3条(政府保証)に規定する簡易生命保険契約をいう。)に基づく給付金及び損害保険契約又は生命保険契約に類する共済に係る契約に基づく共済金で、身体の傷害に基因して支払を受けるもの並びに心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料その他の損害賠償金(その損害に基因して勤務又は業務に従事することができなかつたことによる給与又は収益の補償として受けるものを含む。)

二 損害保険契約に基づく保険金及び損害保険契約に類する共済に係る契約に基づく共済金(前号に該当するもの及び第184条第4項(満期返戻金等の意義)に規定する満期返戻金等その他これに類するものを除く。)で資産の損害に基因して支払を受けるもの並びに不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金(これらのうち第94条(事業所得の収入金額とされる保険金等)の規定に該当するものを除く。)
三 心身又は資産に加えられた損害につき支払を受ける相当の見舞金(第94条の規定に該当するものその他役務の対価たる性質を有するものを除く。)

所法51条1項
第51条  資産損失の必要経費算入
居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業の用に供される固定資産その他これに準ずる資産で政令で定めるものについて、取りこわし、除却、滅失(当該資産の損壊による価値の減少を含む。)その他の事由により生じた損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額及び資産の譲渡により又はこれに関連して生じたものを除く。)は、その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。

2 居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業について、その事業の遂行上生じた売掛金、貸付金、前渡金その他これらに準ずる債権の貸倒れその他政令で定める事由により生じた損失の金額は、その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
(施行令141)〔通達51-10〕
3 災害又は盗難若しくは横領により居住者の有する山林について生じた損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。)は、その者のその損失の生じた日の属する年分の事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
4 居住者の不動産所得若しくは雑所得を生ずべき業務の用に供され又はこれらの所得の基因となる資産(山林及び第62条第1項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)に規定する資産を除く。)の損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額、資産の譲渡により又はこれに関連して生じたもの及び第1項若しくは第2項又は第72条第1項(雑損控除)に規定するものを除く。)は、それぞれ、その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額又は雑所得の金額(この項の規定を適用しないで計算したこれらの所得の金額とする。)を限度として、当該年分の不動産所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
5 第1項及び前2項に規定する損失の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。
(施行令142・143)

(必要経費に算入される金額をほてんするための金額の範囲)
所基通9-19 令第30条本文かっこ内に規定する「必要経費に算入される金額を補てんするための金額」とは、例えば、心身又は資産の損害に基因して休業する場合にその休業期間中における使用人の給料、店舗の賃借料その他通常の維持管理に要する費用をほてんするものとして計算された金額のようなものをいい、法第51条第1項又は第4項《資産損失の必要経費算入》の規定によりこれらの項に規定する損失の金額の計算上控除される保険金、損害賠償金その他これらに類するものは、これに含まれない。(平元直所3-14、直法6-9、直資3-8、平23課個2-33、課法9-9、課審4-46改正)

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