現場・現役の税理士・公認会計士がおすすめする実務書 6選【総合編】

事務所の本棚の様子です。組織再編関連です。①

目次

注)本記事の内容は、記事掲載日時点の情報に基づき判断しておりますが、一若輩者の執筆であることから個別の案件での具体的な処理については責任を負いかねます旨ご理解いただきたく存じます。制度上の取扱いに言及しておりますが、個人的な見解であり、より制度深化に資すればと考えてのものです。

概要

この記事では、現役バリバリ?の公認会計士・税理士が実務上において参考になった、役立った書籍について紹介してみようと思います。

この記事の想定読者は、以下のような方々です。

  • 実務で各税目の知識を必要とする人
  • 当事者として税務と直面している経営者
  • 税理士試験などの受験に際して会計・税務を勉強している人
  • 会計事務所・税理士事務所へ就職をお考えの人

特に、本稿では、税目による縛りなどは排除して、会計・税務に携わるうえでの必携書を想定に、

日々の実務の中での経験に基づいて参考になった書籍をレビューしていこうと思います。

1.令和5年度版 税務ハンドブック

簡潔さ
5/5
持ち運びやすさ
5/5
内容の深さ
2.5/5
利用頻度
5/5

令和5年度版 税務ハンドブック杉田 宗久 (著, 編集)出版社:コントロール社,発売日2023/6/10🔗
です。

まさに、利用頻度は毎日といってもいいでしょう。

図解や表が多用され、簡潔・正確にまとまっています。客先でちょっと調べたり確認したい際などに重宝します。

昭和49年より毎年発行されていることから、年々その内容は洗練されてきており、毎年版が新しくなる度に購入しています。

内容として主に、国税通則法・法人税・所得税・消費税相続税・贈与税・印紙税・登録免許税・住民税・不動産取得税・固定資産税などが

体系的に網羅されています。

てんこ盛りに税目網羅されておりながら、P280ページほどであり、サイズもA5サイズです。

また、税務や社会保険などの早見表関係も充実しています。

簡潔明瞭である一方で、一見すると見逃すような細かい論点や規定については、より詳細な文献にあたる必要があります。

10年ほど前よりは、やや分厚くなってきましたが、内容・質ともに実務家必携水準の書籍と思います。

2.勘定科目別の事例による 消費税の課否判定と仕訳処理(八訂版)

網羅
5/5
持ち運びやすさ
3.5/5
利用頻度
4/5
イメージのつかみやすさ
5/5

勘定科目別の事例による 消費税の課否判定と仕訳処理(八訂版)上杉 秀文 (著)税務研究会出版局,発売日2022/7/1🔗です。

この書籍も利用頻度が高いです。

事例ごとに、その前提、仕訳処理、コメントが記載されていて、検索や参照がしやすいです。

特筆すべき良さは、網羅性です。

消費税の事例を取り扱った書籍は、さまざまな種類のものが出版されておりますが、

実務家が痒いところに手が届くと感じる事例が掲載されているなと何度も思います。

例えば、公共下水道施設受益者負担金の取り扱いについての箇所などは、

実務上たいへん参考にさせて頂きました。

他書にない、取引事例を探す際に重宝します。

上杉先生🔗は、その他にも消費税に関する書籍を多数出版されております。

知りたい内容や根拠条文などもコメントから簡潔に読み取れ、いい本だと毎回気付かされています。

ハードカバーで800ページほどあり、出先に毎回持ち運ぶにはやや重たいですけれども、

常備しておくと大変便利であると思います。

3.問答式 土地建物等の譲渡をめぐる税務〈平成26年版〉

マニアックな論点
5/5
持ち運びやすさ
1/5
情報が古い
1/5
利用頻度
1/5

問答式 土地建物等の譲渡をめぐる税務〈平成26年版〉 単行本 – 2014/7/1🔗です。

この書籍も利用頻度が高いですが、新版については残念ながらネットを検索しても出てきません。

出版年度が古いのが気がかりです。

「個人」「法人」「消費税」の類型から関連する不動産取引に係る税務の論点が整理されています。

1300ページほどもあり、分厚い本で取り回しが容易ではありませんが、調べたい項目がヒットした際の情報量は特筆です

以前利用した論点で、激しくマニアックな論点が記載されておりました。

例えば、転用未許可農地に関する譲渡についてです。未許可の農地をさらに他に譲渡するという事例は、

日頃滅多に出くわす事例ではありませんが、その解釈の仕方や処理の方向性が丁寧に記載されておりました。

この一点において、本書は他に類を見ないディープ論点に言及している良書だといえると思います。

4.法人税基本通達逐条解説(十一訂版)

マニアックな論点
5/5
利用頻度
5/5
持ち運びやすさ
1/5
納税者への配慮
2/5

法人税基本通達逐条解説(十一訂版) 単行本(ソフトカバー) – 2023/7/3松尾公二 (著)🔗です。

いわずと知れた法人税実務の必携書です。

2000ページを超える大書ですが、利用頻度についても、頻出レベルです。

使い方は慣れるまでは辞書のように利用しながら徐々に関連領域の記載も参照するような方法がいいかもしれません。

解説箇所は、例えば法人保険🔗や土地の取得価額箇所などの項目において、

税務の専門領域を超えて、実際の事業の内容や仕組みを分かっていないとできないような説明が散見され、非常に感心するところです。

そのように内容が深いが故に、腰を据えてじっくり読まないと理解を誤る箇所も見受けます。

通達は、本来的に下級行政庁を拘束する規定であって、法規ではありません。

しかしながら、実際の税務行政はこの通達に基づいて執行されるため、実務上は非常に重要なものといえます。

また、現実世界の取引の多くに係る法人税処理を網羅できるほどに歴史的な研究の含蓄が含まれていると思います。

ただし、本通達及び解説が最終的に定める処理が、最終的に納税者の視点に立っているかは疑問な点もございます。

よくよく読み込まないと正確に理解できない点も、穿った見方をすれば落とし穴が散りばめられているような感覚となります。

そもそも、当局サイドの取り決めである点、個人的には本書の位置づけ・利用方法に注意しているところです。

5.消費税 医療・介護・福祉における実務

マニアックな論点
5/5
利用頻度
2/5
網羅性
5/5
丁寧
5/5

消費税 医療・介護・福祉における実務 第3版2021/9/17齋藤 文雄 (著)です。

医療・介護周辺領域の消費税は、介護保険法など消費税法以外の分野の知識が必要となっており、網羅的に整理されている本書は参照しやすく重宝致します。

規制緩和の中で、課税上の判断が難しくなっている比較的新しい論点も多く取り扱われています。

また、その前提として基本的な消費税法の説明から応用的な分野まで医療・介護分野を超えて丁寧に記載されています。

例えば、特定収入がある場合の公益財団法人や、英語による保育を行う認可外保育施設における非課税となる資産譲渡の範囲など、の取り扱いについてなどです。

巻末に参考条文や規定集があり、索引でキーワード検索できる点もありがたいです。

 

6.非営利法人の税務と会計

網羅性
5/5
公益インフォメーション対応
2/5
ピンポイント性
2/5
巻末資料
4/5

非営利法人の税務と会計 8訂版 単行本 – 2019/8/21中田公認会計士事務所 中田ビジネスコンサルティング (監修)です。

広い範囲で、医療法人・宗教法人・NPO法人などの会計から税務に係る領域まで網羅されています。

また、非営利法人と密接な関連のある寄附税制についても記載されています。

個人的には、公益インフォメーションでの事業報告における手続きの詳細な説明がされている書籍を探していますが、

当書籍にかかわらず、詳細に言及している書籍は今のところ発見できておりません。

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