【公益法人】財務三基準、収支相償における要件具備について

目次

1.収支相償とは

注)本記事の内容は、記事掲載日時点の情報に基づき判断しておりますが、一若輩者の執筆であることから個別の案件での具体的な処理については責任を負いかねます旨ご理解いただきたく存じます。制度上の取扱いに言及しておりますが、個人的な見解であり、より制度深化に資すればと考えてのものです。

収支相償とは、「公益目的事業に係る収入が適正な費用を償う額を超えないと見込まれるものであること」(公益認定法の5条6号)です。
同認定法14条には「適正な費用を償う額を超える収入を得てはならない」とあります。公益目的事業は、不特定多数の者の利益増進に寄与するために 寄附者の意図を受けた法人の受託責任を明確化するともとに、利益を内部に溜めることなく公益目的事業に充てるべき財源を最大限活用する目的の制度です。

2.収支相償の要件を具備するには

例えば、単年度の収益から費用を差し引いて余剰(黒字)が生じた場合は、内閣府が作成している公益認定等ガイドラインやFAQを基に、その剰余金の解消方策として認められる方策を以下でご紹介します。

①翌事業年度に解消する計画を立てる

翌事業年度に実施する公益目的事業の拡大や充実のために使用する 剰余金が発生した翌事業年度において、公益目的事業の拡大や充実のために剰余金を 使用する方法です。この場合、単に他の財源の代わりに剰余金を財源として公益目的事 業を実施するだけでは、剰余金を解消したことにならず、剰余金と同額以上の損失(公 益目的事業会計での赤字)を発生させることが必要です。
よって、例年実施されている 事業を拡大する、または事業内容を充実させるなどの取組が必要ですので、ご注意くだ さい。※ 剰余金の発生した翌年度においてその剰余金を解消することが難しく、そのことについて合理的な理由があることを説明した場合、剰余金の解消を翌々年度まで延長す ることが認められますが、その場合には、翌々年度の事業計画書等の提出時に、剰余金の解消計画(剰余金の具体的な使途がわかる書類)を提出する必要があります。 (参考資料:FAQ問Ⅴ-2-⑥)

②特定費用準備資金として剰余金を積み立てる

② 公益目的事業に係る特定費用準備資金を積み立てる 将来の特定の公益目的事業の実施のため、認定法施行規則第 18 条に定められた特定費用準備資金として剰余金を積み立てる方法です。特定費用準備資金については、単に将来の赤字補てんを目的として積み立てることは認められず、将来に当該資金の目的であ る活動を行うことが見込まれることや積立限度額が合理的に算定されていることなどの 要件を満たす必要があります。

この制度については、設計時に関与された出口先生が深い研究を開陳されております。参考:出口正之(2018)「「理念の制度」としての財務三基準の有機的連関性の中の収支相償論」,非営利法人研究学会誌VOL.20 2018(2023年4月3日閲覧)🔗

3.特費のすすめ

ここで、内閣府公益認定等委員会事務局大臣官房公益法人行政担当室は、「特費のすすめ🔗」を公表しました。この広報資料では、特定費用準備資金の概要や積立要件の説明の他、具体的な積立例が紹介されています。

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