目次
注)本記事の内容は、記事掲載日時点の情報に基づき判断しておりますが、一若輩者の執筆であることから個別の案件での具体的な処理については責任を負いかねます旨ご理解いただきたく存じます。制度上の取扱いに言及しておりますが、個人的な見解であり、より制度深化に資すればと考えてのものです。
1.会計業界のDX化
昨今、会計業界には「業務のデジタル化」が注目されてきていました。
「業務をデジタル化する」ことは、アナログ作業をやめ、データを中心とした業務のやり方に変えることで、経理業務で言えば、様々な取引データを会計システムに取り込み、自動で仕訳したり資料を作成したりできる状態を指します。
その中で特に会計業務に直結すると思われるOCR入力、Optical Character Reader(またはRecognition)の略で、画像データのテキスト部分を認識し、文字データに変換する光学文字認識機能のことを言います。 具体的にいうと、紙文書をスキャナーで読み込み、書かれている文字を認識してデジタル化する技術です。
これを駆使すれば、証憑から人間がキーボードによって会計ソフトへ打ち込んでいたいわゆる記帳業務が自動で流れていくようにすることができます。
元来、そのメリットは言われてきていましたが、その技術的なネックから足を踏み出せない企業や会計事務所も多かったように思います。
特に、実務上ボトムネックであったのがスキャナによる読み込みの「精度」です。
スキャンする際に、紙送りがうまくいかない場合や、画像を文字認識する場合に文字化けを起こしたりなどです。
そのような情勢の中で、個人的に実務に耐えうる程度の技術の進展を耳にする機会が増えてきましたので、実際に使ってみようと思い立った次第です。
2.実際にスキャンしてみる
百聞は一見に如かずということで実際にやってみるとそのスピードがなかなかに想像以上でています。スキャン対象のレシートの上下や表裏などは整理されていなくても読み込んでくれるようです。
実際に購入したスキャナーは、ScanSnap iX1600という商品です。
購入の決め手は、ファイルタイトルを自動生成することができる機能があったためです。このファイルタイトル自動生成機能は、電子取引やスキャナ保存制度(スキャナ保存の記事はこちら🔗)と相性が良いように思います。
端末の操作画面は直感的で操作しやすいと思いました。「ScanSnap Home」という専用のソフトウェアがありますが、スキャナーの設定やコンテンツの管理・活用などが行えます。
実際に実機を触ってみる場所もメーカーによって用意されているみたいです。スキャンスナップHP「タッチ&トライスポット」
市販のスキャナであれば、スキャンスナップに限らず利用できると思います。
3.スキャンした画像を会計ソフトに読み込ませてみる
実際に読み込ませた結果、個人的に驚いたのは、手書き文字を認識する能力についてです。
体感、デジタル出力の文字で9割程度、手書き文字で8割程度の正確さで認識しているようです。
また、証憑の種類は通帳や請求書なども対応しています。
摘要や勘定科目など修正を加えた場合には修正点を学習して次回以降の読み込み時には修正不要となるそうです。
さらに複数税率の認識やインボイス要件の判定まで一応自動で行います。
認識の精度が向上している点に驚きましたが、依然として
勘定科目の設定やインボイス対応など人間の目でのチェックは少なくない範囲で必要そうです。
ただし、この自動仕訳が実務で使えなくもない領域まで来ているというデジタル進化を目の当たりにした気が致します。
特に、類似するレシートが膨大にある場合などの様に、機械処理と相性のいい分野では十分に機能するような予感がします。