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注)本記事の内容は、記事掲載日時点の情報に基づき判断しておりますが、一若輩者の執筆であることから個別の案件での具体的な処理については責任を負いかねます旨ご理解いただきたく存じます。制度上の取扱いに言及しておりますが、個人的な見解であり、より制度深化に資すればと考えてのものです。
1.前提
インボイス制度導入に伴う経過措置・免除規定・特例について、わかりにくいと思われたので、以下で整理してみます。
特に、売上サイド話である2割特例と、仕入サイドの話である課税仕入の80%控除については、
それぞれ別に規定されており、
制度上厳格にリンクしているわけではない点、
言及している方が少ないよう見受けました。
重要な点においての利便性を重視した整理ですので詳細な取り扱いについては、別途Q&Aなど適宜参照をお願いします。
2.インボイス保存不要の経過措置・特例・免除規定まとめ
名称 | 相手 | 金額基準 | 適用期間 | 控除割合(%) | 対象事業者 | 要件 |
少額特例 平成28年改正附則53の2、平成30年改正令附則24の2 | 免税業者を含むすべて | 税込1万円未満※1 | 時限的※2 | 100 | 基準期間における課税売上高が1億円以下又は 特定期間における課税売上高が5千万円以下 の事業者が、適用対象者 | 帳簿のみ |
少額返還インボイス交付義務免除 消法57の4③、消令70の9③二 | すべて | 税込1万円未満 | 恒久的 | 100 | 全て | 帳簿のみ |
免税事業者等からの課税仕入れに係る経過措置 平成28年改法附則52、53 | 適格請求書発行事業者以外 | すべて | 時限的 ※5 | 80→50→0 | 全て | 帳簿のみ※3 |
特例3万未満公共交通機関や自販機ほか※6 | 公共交通機関など | 3万円未満ほか | 恒久的 | 100 | 全て | 帳簿のみ※4 |
※1 商品ごとや1決済でなく、1回の取引ごとに判定。
※2 令和5年10月1日~令和11年9月30日。
※3 経過措置適用受ける旨の記載。
※4 帳簿記載内容の指定ありQ&A問107。
※5 令和5年10月1日から令和8年9月30日までの3年間→80%
令和8年10月1日から令和11年9月30日までの3年間→50%
※6 内訳は下記参照
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3.免税業者から一般的な仕入れを行った場合の事業規模と適用期間毎の控除割合まとめ
経過措置中※1 令和5年10月1日から 令和8年9月30日までの3年間 | 経過措置中※1 令和8年10月1日から 令和11年9月30日までの3年間 | 経過措置期間経過後 | ||||
税込取引金額(円) | 少額特例対象外 | 少額特例適用対象※2 | 少額特例対象外 | 少額特例適用対象※2 | 少額特例対象外 | 少額特例適用対象※2 |
100,000 | 80% | 80% | 50% | 50% | 0 | 0 |
11,000 | 80% | 80% | 50% | 50% | 0 | 0 |
8,000 | 80% | 100% | 50% | 100% | 0 | 100% |
※1 区分記載請求書等の保存により仕入税額控除ができる割合
令和5年10月1日から令和8年9月30日までの3年間……80%
令和8年10月1日から令和11年9月30日までの3年間……50%
※2 “基準期間における課税売上高が1億円以下又は特定期間における課税売上高が5千万円以下の事業者が、適用対象者”
上記の取引は、公共交通機関などでない、一般的な免税事業者との取引で税率は10%が前提です。
特に税込10,000円未満かどうかが基準で、「100,000」「8,000」という数値は、適当な金額を設定しています。