【免税業者激励】インボイス制度の問題点・デメリットとその解決思考

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目次

注)本記事の内容は、記事掲載日時点の情報に基づき判断しておりますが、一若輩者の執筆であることから個別の案件での具体的な処理については責任を負いかねます旨ご理解いただきたく存じます。制度上の取扱いに言及しておりますが、個人的な見解であり、より制度深化に資すればと考えてのものです。

1.インボイス制度の概要

インボイス制度については、以下の記事で概要を説明しています。

簡単に言うと、以下のような制度となっています。

<売手側>

 売手である登録事業者は、買手である取引相手(課税事業者)から求められたときは、インボイスを交付し、交付したインボイスの写しを保存しておく必要があります。


<買手側>
 買手は仕入税額控除の適用を受けるために、原則として、取引相手(売手)である登録事業者から交付を受けたインボイスの保存等が必要となります。

インボイス制度は、消費税の納税に関しての不正やミスを防ぎ、仕入税額控除の算出を容易にすることを目的として実施される制度です。しかし、導入後の業務負荷や経営圧迫の懸念や、問題点についての指摘の声があがっています。

 以下は、インボイス制度に関する問題点です。

2.インボイス制度の一般的な問題点

ア,免税事業者が適格請求書を発行できない

かつて、複数税率制を導入するにあたって、財務省は、当初の見込みに対して生じる約1兆890億円の税収減のうち、約2480億円をインボイス導入による増収で賄うとしていました。

 当省の試算によると、農林水産業などを除く売り上げ1千万円以下の免税業者約372万社のうち、約161万社がインボイス導入を機に課税業者になると想定しています。2480億円を161万社で割った1社当たりの負担額は15万4千円で試算上で想定したのは、売上高550万円、粗利益150万円という小規模事業者です。

インボイス制度の影響を受けるのは、企業と取引をしている個人事業主やフリーランスなどで、その数は1千万人以上ともいわれ、業種も様々です。

特に取りざたされているのは、シルバー人材センターの会員に関する問題です。全国商工団体連合会HP🔗

また、上述の記事でも述べましたが、

元来、現行免税点制度の趣旨は、「小規模な事業者の事務負担や税務執行コストへの配慮から設けられている特例措置」であると説明されてきています。

インボイス制度導入に、賛成反対様々な意見がありますが、

消費税相当額を免税事業者が自らの意思で懐に入れていた益税というよりも、免除を与えられ正当に認められてきたというのが、正しい理解であると思います。

この趣旨は、第29回税制調査会🔗でも語られております。個人的な意見として、今般の制度改正は、歴史的に国が保護を図ってきた小規模事業者をその保護から外すことに他ならないと思います。

さらにそのことの実質的な担い手を発注者である納税者側からの仕入選定に委ねている点、懸念するところです。

学問的には、消費税の転嫁を阻害するという意味で益税を課題とするならばその反射として、控除対象外消費税の問題点も「損税🔗」サイドの立場から同様に議論されるべきだと考えます。

なお、損税🔗は、消費税を支払っているにもかかわらず控除を受けられない税制上の歪みをいいます。とくに、医療機関など課税売上割合が小さい事業者において認められます。

また、同様に消費税の多段階式課税の問題点はこちらの記事で言及しています。

 

イ,独占禁止法・消費税転嫁対策特別措置法に抵触する可能性のある価格交渉

つい先日、日本たばこ産業(JT)が葉タバコ農家に一方的に取引価格の引き下げを通告し、公正取引委員会が独禁法に違反する恐れがあるとして同社に注意したというニュースがありました。(日本経済新聞「インボイス巡りJT注意 葉タバコ価格下げ通告で公取委」2023年8月26日🔗

この注意の背景には、インボイス制度の導入があると思われます。免税事業者から仕入を行っている事業者が、価格交渉に動くことは当然に考えられますが、下請けなどの弱い立場の者が対等の立場で交渉しにくいことが問題として挙げられます。

経験として、大手と免税事業者の関係は、例えば以下のようなものがあります。

  • 広告代理店とデザイナー
  • 保険会社と保険代理店・営業マン(契約形態による)
  • メーカーと内職さん
  • マッサージチェーン店と施術師
  • ウーバーイーツと配達員
  • など

ニュースになる事例は、現実に起こっている問題の氷山の一角かもしれません。

ウ,事務コストやソフトウェアの改修コストの増大

適格請求書の発行や納税額計算のために、システムの改修または新たなシステムの導入が必要となる場合があり、システム改修や導入コストも事業者にとって負担となります。

なお、ソフトウェアやIT機器の切り替えコストに関連して以下の記事で紹介するような負担軽減のための支援が用意されています。

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3..実務家として感じるインボイスの問題点

ア,誰が適正なインボイスの要件・保存をチェックするのか

制度としてのインボイス制度を受容したうえで、誰がチェックするのだろうという疑念が沸きます。

とりわけ、全体の納税額に比して、一取引あたりのインボイス要件の不合の影響が小さすぎるのです。

例えば、税務調査における調査官の立場を考えた際に、ただでさえ大変な調査作業に追加でインボイス保存の要件や記載事項のチェックを行えるだろうかと心配しています。

また、ほかの当事者としては我々税理士や事業者自身がありますが、複数税率・キャッシュレス・ペーパーレス化など対応業務が多岐にわたる中で、システムに頼らずマンパワーでチェックを行うのは限界があります。

イ,税理士の胸にチェックしなければという使命が沸き起こったとしても、専門家に追加の報酬を支払うインセンティブが生まれない構造

免税業者からすれば、制度導入においてそもそも追加の負担が生じている中、専門家報酬にまで配慮が行き届くのは稀であると思います。

仕入税額控除を検討している事業者が専門家に頼る場合の観点からは以下のように考えます。

従前無条件に行えていた仕入税額控除(帳簿保存など一定の要件はあり)を、追加事務負担で同様の効果を得ようとするところ、これもまた専門家報酬はただの追加の支出となってしまいます。

ウ,ついでに細かい論点まで改正してしまった

少額特例🔗などはまさにその典型で、実務が混乱している要因であろうと思います。

混乱しそうな箇所は以下の記事でまとめました。

4.問題点を解決する事業者の思考法

SNS上でインボイス制度の賛否両論眺めてましたら、非常に腑に落ちた意見がございました。

インボイス制度に対抗する最も最適解であろうと思われる事業者の姿勢は、

「要するに、稼げばよい」

という見解です。

とても深い言葉で、今の私にはとても心に染み入りました。

政治が弱者に歩み寄ろう云々は端から期待が薄いことを前提に考えることが建設的であり生産的という意味だと理解しています。

制度是非への言及はいったん置いておいて

とりあえず自らの儲けの限界と考えていたハードルを引き上げることが、

ひいては国力増強へと繋がり、もって生産性向上・頼りない政治力の強化へ繋がるという理解です。

免税事業者においては、経過措置を除外して考えると、

大体粗利に10パーセントを乗じた金額が、消費税の納税として必要になります。

それは、本来制度上優遇されていたものであるという理解のもと、

もうあと10パーセント粗利を伸ばす経営上の工夫を凝らしてみましょう。

過去その恩恵を受けていた人との比較は度外視で、将来を見据えて稼ぎましょうと。

時代は変遷しています。概念を転換するいい機会かもしれません。

本国の増税志向は、仕方がないじゃないかというあきらめの精神です

(税務の専門家がこれを発言するのはどうかと思いますが)。

このように思考することの最大のメリット・いわんとするところは、上からもたらされる制度に頼らず、

本国を末端の現場から強くしていくということ

です。

皆様、是非我が国を現場から強くして参りましょう。

これがなにより、弱体化した今の日本に求められている精神ではないでしょうか。

とはいえ、先述したように、

インボイス制度の影響を受ける事業者の中には、

シルバー人材センターの会員などの高齢者や、新規開業にあたってどうしても資金的に苦しい業種もございます。

これらの方々には、消費税制度にかかわらず、

別途の対応でも肌理の細かい制度的なフォローを願うばかりです。

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